マイホームを建てるとき、外壁材を「窯業系サイディング」にするか「外装タイル」にするかで迷う方は多いと思います。
今回は、総務省が公表している「固定資産評価基準」をもとに、外壁材の違いによる固定資産税の差額をシミュレーションしてみました。
目次
固定資産税の計算方法
今回は32坪・2階建て(延床 ≈ 106㎡)を前提に、外壁面積は
- 外壁面積 ≒ 延床面積 × 1.30
- = 106㎡ × 1.30 = 約138㎡
固定資産税は「評価点」で決まる
固定資産税は建築費で決まるのではなく、総務省の固定資産評価基準に沿って、家の部位ごとに「評価点」を算出し、その合計を金額(評価額)に換算して課税されます。
外壁の場合、仕上げ材ごとに以下の評点単価が定められています(令和6年基準):
- 窯業系サイディング:9,770点/㎡
- 外装タイル貼り:14,470点/㎡
👉 この「点数」が、そのまま家の評価額(≒円)に直結します。
モデルケースの条件
- 延床面積:32坪(約106㎡)
- 外壁面積:延床の約1.3倍として 約138㎡
- 固定資産税率:1.4%
- 長期優良住宅の減税:新築から5年間は1/2
Step1:評価点の差を算出
- サイディング:138㎡ × 9,770点 = 1,348,260点
- タイル:138㎡ × 14,470点 = 1,996,860点
- 評価点差:648,600点
Step2:評価額(円換算)
1点 ≒ 1円で換算します。
- サイディング:約134.8万円
- タイル:約199.7万円
- 評価額差:約64.9万円
厳密には
Step3:固定資産税(年額)
- サイディング:134.8万円 × 1.4% = 約18,876円/年
- タイル:199.7万円 × 1.4% = 約27,956円/年
- 差額:年 約9,080円
Step4:長期優良住宅の減税(5年間)
新築から5年間は1/2に軽減されます。
- サイディング … 約9,438円/年
- タイル … 約13,979円/年
- 差額 … 約4,541円/年 → 5年間で 約22,700円の差
Step5:35年・40年の累計差
固定資産評価額は年々下がり、25年程度で約20%水準に落ち着きます。
毎年お家の評価額は下がっていくのですが、これを計算するために経年減点補正率というものがあります。
法務局の資料がこちら
経過年数 | 経年減点補正率 | サイディング_評価額(円) | タイル_評価額(円) | 評価額差(円) | サイディング_税額(円) | タイル_税額(円) | 税額差(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0.80 | 1078608 | 1597488 | 518880 | 7550 | 11182 | 3632 |
2 | 0.75 | 1011195 | 1497645 | 486450 | 7078 | 10484 | 3405 |
3 | 0.70 | 943782 | 1397802 | 454020 | 6606 | 9785 | 3178 |
4 | 0.67 | 903334 | 1337896 | 434562 | 6323 | 9365 | 3042 |
5 | 0.64 | 862886 | 1277990 | 415104 | 6040 | 8946 | 2906 |
… | |||||||
累計40年 | – | – | – | – | 276781 | 410196 | 133415 |
経過年数 | 経年減点補正率 | サイディング_評価額(円) | タイル_評価額(円) | 評価額差(円) | サイディング_税額(円) | タイル_税額(円) | 税額差(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0.8 | 1,078,608 | 1,597,488 | 518,880 | 7,550 | 11,182 | 3,632 |
5 | 0.64 | 862,886 | 1,277,990 | 415,104 | 6,040 | 8,946 | 2,906 |
10 | 0.5 | 674,130 | 998,430 | 324,300 | 9,438 | 13,978 | 4,540 |
20 | 0.26 | 350,548 | 519,184 | 168,636 | 4,908 | 7,269 | 2,361 |
40 | 0.2 | 269,652 | 399,372 | 129,720 | 3,775 | 5,591 | 1,816 |
累計40年 | – | – | – | – | 233,111 | 345,256 | 112,142 |
まとめ
- 窯業系サイディングと外装タイルの差は 評価額で約65万円
- 固定資産税にすると 年間で約9,000円の差
- 長期優良住宅の減税を含めても、40年間での差は15〜16万円程度
ポイント
「タイルは税金が倍になる」というイメージは誤解です。
実際の差は年1万円弱、長期で十数万円に収まります。
外壁選びでは、デザイン・耐久性・メンテナンスコストと合わせて、固定資産税の影響も一緒に考えると判断がスッキリしますよ。